Tuesday, November 19, 2019

グレイテストショーマン 感想


評価★★★★☆
なかなかの迫力で面白かった。ですが、ラ・ラ・ランドよりは少し物足りない感じがあったかなぁ。実在する興行師P.T.バーナムを描いた映画です。

二人の子供がかわいい。奥さんが健気。序盤の屋上で洗濯物を干す場所だったと思うのですが、そこで描かれる家族の絆みたいなやつが、グッときます。貧乏の仕立て屋の息子のサクセスストーリーで、後味が良い映画です。

ただ、全体的に説明不足というか、上昇志向の強いバーナムが徐々にダークサイドに落ちていく感じとか、そういうのがもっと描かれていたらなぁとか、サーカスの一人一人のことをもっと詳しく知りたいなぁとか思いました。サーカス全体の躍動感は確かにすごかったですが、髭の女性やチビッ子大人の人なんかはソロパートをあげてもよかったんじゃないかなぁ。

あとパートナーの小説家でしたっけ、その印象が薄いし、彼の恋愛についてのくだりがありましたが、いまいち感情移入できなかった。批評家の人も敵役として登場してきて、のちに味方になるのかと思わせて、なんかよく分からないことになりましたしね。

もちろんミュージカルなので、歌唱パートが多く、その分状況説明が不足したり、ストーリーを丁寧に前に進める時間がなかったりしたのではないかと思います。難しいところですね。

ラ・ラ・ランドではエピローグで、自分の内面に心を向けさせられましたが、このグレイテストショーマンではそんなことはありませんでした。家族の話も少しありましたけど、軽いアクセント程度。何かを考えさせられたりすることはなく、ただただ映像と音楽の大迫力に圧倒されました。なんかよくわからないけどすごかったなという感じですね。


Sunday, November 17, 2019

ズートピア 感想


評価 ★★★☆☆
擬人化系の映画は苦手でしたが、面白く見ることができました。まず主人公のジュディがかわいいです。少しリアルなのでちょっと気持ち悪いな、と思っていましたがすぐに慣れます。シュガーラッシュのヴァネロペと同じニャッとする表情がいいですね。

あとは小さいときに怯えて鼻をヒクヒクさせるところが面白い。ジュディがズートピアに到着したときのズートピアの様子も良かった。ハムスターの出勤やキリンにジュースを渡す装置もいい。ああいうのがもっと見たかったですね。少し短かったと思います。

小さくて弱いウサギが、嫌われ者のキツネと協力して問題を解決するという内容。これ自体はよくある話でいいのですが、それに人種問題を絡めているのがちょっと説教臭かったという印象。肉食動物と草食動物の対立は要らなかったかな。それよりトムとジェリーのように、ネコがネズミをいじめるけれど、ネズミの方が賢くて一枚上手みたいな、そういう動物あるある(?)みたいな方が良かったと思う。あと幼い頃いじめられていたキツネと和解するシーンがあっさりしすぎ、あそこはもっと感動的にいかないと。

意外な犯人みたいなのも要らなかった。署長(?)が嫌なやつ過ぎ。あいつが犯人でいいやん。あれ、思ったより文句が出てくるぞ。

面白く観ることができましたが、後で思い返すとなんかしっくり来ないことがポロポロ出てくる映画でしたね。でもこれは2はあるでしょう。その2に期待です。


ゴールデンウィークに見た映画ランキング

6位 チャイルド・プレイ~チャッキーの狂気病棟~
評価★★☆☆☆
前作の「誕生の秘密」 はまぁまぁだったのですが、これは・・・雰囲気は良かったんですけど、ストーリーがむちゃくちゃじゃない?


5位 TIME
評価★★★☆☆
ふつうですね。・・・考えさせられる映画のようで、そうでもなかった・・・。吹き替えがひどいと評判でしたが、アホっぽさが出ていて、逆に良いんじゃないかとも思ったりしました。


4位 きっとうまくいく
評価★★★☆☆
主役のやつが少し鼻につく。もっと飄々としていたら、いいキャラだったと思う。途中の出来事も「それは自業自得やろー」となることばっかり。とはいえ最後はなんかいい話だったなぁという感じにはなりました。

3位 ファイトクラブ
評価★★★☆☆
ブラッド・ピットが格好いいのは確か。トリック的なやつは途中で分かった。似たような映画が色々ありますよね。最後のシーンがすごいという人がいますが、私は良く分からなかった。まぁ、ブラッド・ピットが格好いいという映画。

2位 ゴーンガール
評価★★★★
主役の女優さんの演技が面白い。完璧な人間かと思うと、少し抜けていて、かわいらしい面もありながら、サイコパス。そんな印象がころころ変わる人物をしっかり演じてくれているように思いました。ストーリーも面白かったですよ。無理やりやなぁと思うこともありましたが・・・

1位 ドントブリーズ
評価★★★★★
いやー、怖かった。驚かす系の怖さもちょこちょこありますが、心理的にやばいやばい・・・という怖さがしっかり描かれていたように感じます。最後のもやっとした終わり方も、あれしかないという感じですね。

LIFE! 感想

評価★★★☆☆

雑誌の表紙に使う写真のネガが見つからないことに気づいた主人公が、そのネガを求めて・・・という映画。さえない主人公が成長していく様子が、うまく描かれていたかなと思います。

「さんざん冒険して、ネガなんてものは最初から存在しなかった。この冒険の経験こそが宝物だ!」みたいなオチかと思いながら見ていたのですが、そんなことはなく、写真のネガはちゃんと見つかって、そこに写っていたものも納得いくものでした。後味はとても良いです。

とはいえ不満に思うところもいろいろあります。主人公の最初がぼんくら過ぎ。写真家の人に認められているのであれば、やるときはやるみたいなところはあっても良かったのでは? 女性に対して奥手でフェイスブックで言う「いいね」すら押すのに躊躇してしまう人だったのが、事件(?)が起きた瞬間に普通にその女性に話しかけているのもどうかと。

あと主人公が好意を寄せるその女性が、それほど魅力的でないように感じました。まぁこれは好みの問題もありますね。

一歩踏み出してみよう。そうすれば人生が変わる! というメッセージが込められた映画ですが、正直その点はあまりピンときませんでした。途中の冒険があまりに荒唐無稽でしたので、こんなことできるわけないやろーというのが先に立ちます。

そういう無茶苦茶な山場があったのですが、最後はごくごく普通の日常で締めており、見終わった後はとてもさわやかな気分になります。何度も繰り返し見ようという気にはなりませんが、見ておいて良かったなと思える映画でした。

ラ・ラ・ランド 感想

評価★★★★☆
ララランドは不思議な映画です。話の筋だけで言えば、すぐに終わります。ありきたりのラブストーリーです。ラブストーリーですが、決して恋人同士で観てはいけません。その理由はまた後程書きます。あとは年齢を重ねてから観た方がいいかもしれません。この理由も後程。ミュージカルなので、その辺で好き嫌いが別れるかもしれませんね。色々なものを詰め込んだお菓子箱のような映画です。

まず表にあるのはラブストーリー。喧嘩のシーンが良かった。あれはリアルでしたね。こちらが特に気にしていなければどうということもない会話。むしろ相手を気遣ってのものなのに、ほんの少しのわだかまりがあって、相手の言葉の端にそのわだかまりが掠めるのに気付いてしまう。それによって会話のレールが少しずれてしまう。お互いがちょっと不味いなと感じ、修正しようとするも、ボタンの掛け違いになって、どんどんおかしな方向に進んでしまう。で、結果怒鳴りあい。

「夢を諦めないで!」という応援であったり、逆に「夢が叶わなくっても、それはそれでいいじゃない」という慰め(?)だったり、観る人によってで捉え方が変わってくる。最初に恋人同士で観てはいけないと書きましたが、この映画は自分の過去を振り返らされます。恋愛に関しても、ありますよね。あのときあの人と別れなかったらとか、あの人と付き合っていたらどうなっていたのかとか。最後のシーンでそれを思わされてしまいます。最後のシーンで画面が流れていますが、見ているのはきれいな映像。そして美しい音楽に気持ちの半分を自分の内面に向かわせてしまいます。目は画面を向いていても心は自分のことに思いを馳せてしまう。

では恋人同士で観るのはまずいとして、誰と観るのが良いのでしょうか。友達同士? いやこの映画は一人でこっそり観るのがいいのではないでしょうか。通常映画は、特にラブストーリーは登場人物の誰かに感情移入して、「かわいそうだ」とか、「しあわせになってよかった」などと感じるものでしょう。あるいは話の筋に酔いしれるみたいな。それがこの映画では自分の人生を思い返して、いろいろ振り返らされてしまうのです。そのため、ある程度経験を積んだ人が観るといろいろ思うことも出てくるのではないかと思います。

映画の画面を観るのではなく、自分の内面を観るという不思議な感覚を味わえた映画でした。

ナイト&デイ 感想

評価★★★☆☆
トム・クルーズが格好いいのはもちろんですが、キャメロン・ディアスが面白いです。あんまり好きな顔ではないのですが、時にものすごく美人に見えるのがすごい。

組織を裏切った凄腕スパイとそれに巻き込まれる一般女性という内容。トイレで化粧直しをしているあいだ、トム・クルーズが闘う描写があるのですが、トイレの中ののんきな様子と外のアクションとの対比が面白い。特に外で闘う二人が揉み合ってトイレのドアにぶつかるのですが、その「ドンドン」という衝撃に対して「入ってますよー」というとぼけた返事が面白かったですね。あとはカーアクションはまぁまぁかな。緊迫した場面と、とぼけた会話というのが全編を通して続きます。

逆に不満なのは展開の安易さ。特に敵に捕まった後の脱出シーン。あれはないわー。病院からの脱出シーンも同様。でもこれはさっきの敵からの脱出シーンと対応させているのだから、しかたないのか。あとは最後のおち。うーん、あれはまぁあんなもんかとも思いますが、でもそれで「おー、そうくるか!」とはならないでしょう。誰かが言っていましたがこの映画は、女性がトム・クルーズを見てカッコいいー、キャメロン羨ましいー、となるおしゃれ映画であります。ターミネーターやダイハード的な面白さを求めて見ちゃうと、ちょっとがっかりするかもしれませんね。

とはいえ、2時間退屈せず見ることができましたし、頭を空っぽにして見る映画としては良いのではないかとも思います。ということで、評価は星三つです。

プラダを着た悪魔 感想

評価★★★★☆

おしゃれ映画ですね。ファッション雑誌が舞台なので当たり前ですけれど。ダサい(?)アン・ハサウェィが、みるみるおしゃれになっていく様子を見て、「私もああなりたい~♪ ブランドの服、買ってちょうだい」となってしまう映画でもあります。

でも実際、服によって雰囲気がガラッと変わりますね。あまりファッションに興味がなかったのですが、何か恐ろしいものを見せられた感じもします。アン・ハサウェィが最初に着ていたコートやセルリアンのセーターも最初は特に違和感を感じませんでしたが、後の変身を見ると、陰口をたたかれる程度にダサかったというのがわかりました。そういった意味ではファッションの啓蒙映画だともいえるでしょう。

ストーリーに関してはまぁ色々あります。嵐の日に飛行機で帰らせろや、ハリーポッターの発売されていない原稿を読ませろ、という無理難題。あとステーキのくだりはやりすぎでしょう。後半で実は悲しみを抱えているんですよ、なんて言われても全然同情できませんよ。

あとは、違う男に一瞬乗り換えたところ。あの辺、軽いなぁ。そりゃ、友達も愛想をつかしますよね。めでたしめでたしという結末のようになっていますが、なにかもやっとしたものを感じないわけにはいきません。

エミリー・ブラントが演じているのがエミリーという第一秘書なのですが、これはたまたまなんですかね? 好きな女優さんなんですが、あの化粧はどうしたものか。まぁ、アン・ハサウェィの比較対象としてあまりイケ過ぎてもいけないというところでしょうか。

メリル・ストリープが演じる、弱った時のおばあさん感もすごい。これは演技もそうなんでしょうけれど、キャリアウーマン時のメイクが素晴らしいってことでもありますね。アカデミー賞の主演女優賞を取ったんでしたっけ?いろいろ書きましたが、結構面白かったです。頭空っぽにして見ることができる映画としてはかなり良いのではないでしょうか。

ジャッカルの日 感想


評価 ★★★★☆

登場人物それぞれにしっかりとしたバックグラウンドがあるのが良い。そしてそれぞれの人物の物語における役割が非常に考えつくされていて面白い。

中でもOASのボディガード、コワルスキーの存在がすばらしい。最初コワルスキーはロダンのボディガードをしていて、ロダンのもとに訪れるカッソンとモンクレアの腕を締め上げる。このあたりややコミカルに描かれており、コワルスキーの役割はこの小説のやや重々しい雰囲気の中でのちょっとした息継ぎのようなものなのかと思われる。

ところが実はそうではなくてそのあとジャッカルが、カッソンとモンクレアがつかまるまでその存在に気付かなかったコワルスキーの存在に気付かせることで、ジャッカルの能力の高さ、つまり、カッソン・モンクレア<コワルスキー<ジャッカル、ということを示すことになる。なるほどジャッカルのすごさを表現するためにコワルスキーという人物を出したのかと思っていたら、さらにその後そのコワルスキーが物語の中で重要な役割を果たす。

このコワルスキーほど物語中で重層的に役割を果たす人物はいないが、その他にも出てくる人物人物にそれぞれ過去があり、性格がある。何よりすごいのは内面描写を極力避けながら、その行動と言葉から彼らの性格を滲み出させている点だ。そして内面描写がほとんど無いことから物語のスピード感はたまらなく速い。割と分量はあるが一気に読み進めることができるのではないだろうか?

途中ルベルの視点のパートでやや停滞しかける場面もあるような気がしないでもないが、最後の最後まで緊張感を保ち続け読ませられる傑作であります。